【寝だめの真実】土日に10時間寝ても、平日の寝不足はチャラにならない
「平日は5〜6時間しか寝られないけれど、土日にたっぷり寝ているから大丈夫」
仕事に家事、育児。
働き盛り世代は、どうしても自分の睡眠は後回しになりがちです。
そして休日になると、
「今日は目覚ましをかけずに寝よう」
「10時間寝たから、今週の寝不足はリセット!」
そんな“寝だめ”をしている方も多いのではないでしょうか。
しかし、睡眠は週末にまとめて取るものではありません。
平日に積み重なった寝不足は、土日に長く寝ただけでは完全には取り戻せません。
6時間睡眠を続けると、脳の働きは落ちていく
睡眠不足の研究として有名なのが、Van Dongenらが行った実験です。
健康な成人を、
・1日8時間
・1日6時間
・1日4時間
の睡眠時間に分け、14日間にわたって認知機能などを調べました。
その結果、6時間睡眠でも日を追うごとに注意力や認知パフォーマンスが低下しました。
さらに重要なのが、本人が感じる「眠さ」と実際の脳の働きが一致しなかったことです。
つまり、
「6時間睡眠に慣れた」
「昼間それほど眠くないから大丈夫」
ではありません。
身体は慣れても、寝不足そのものがなくなったわけではないのです。
寝不足は、1日たくさん寝れば元通りになるわけではない
では平日に寝られなかった分を、休日に10時間くらい寝ればどうでしょうか。
これについても実験があります。
慢性的に睡眠時間を制限した後、回復のために長く眠らせると、眠気や認知機能は改善します。
ただし、1晩長く寝ただけでは、すべての機能が元の状態まで回復するわけではありませんでした。
回復睡眠の研究をまとめたレビューでも、睡眠不足からの回復速度は一定ではなく、
眠気、気分、注意力など、それぞれ違う速度で戻ることが示されています。
つまり、
「5日間寝不足だったから、日曜日に10時間寝てリセット」
という計算は成立しません。
睡眠は、お金の借金のように「不足した10時間を休日に10時間足せばゼロになる」という単純な仕組みではないのです。
週末の寝だめでは、代謝への影響も防げない
寝不足の影響は「眠い」「頭が働かない」だけではありません。
2019年に発表された研究では、
・毎日十分に寝るグループ
・睡眠時間を5時間に制限するグループ
・平日は5時間睡眠、週末は自由に寝るグループ
を比較しました。
週末に自由に寝られるグループは、実際に休日の睡眠時間を増やしました。
ところが、再び平日に睡眠不足になると、
インスリン感受性の低下や夜間の摂取エネルギー増加などを防ぐことはできませんでした。
研究者は、週末の回復睡眠は、繰り返す睡眠不足による代謝の乱れを防ぐ方法として有効ではないと結論づけています。
だからこそ、
「平日は削る、休日に取り戻す」という睡眠習慣を繰り返さないことが重要です。
では、寝不足になったらどうすればいい?
答えはシンプルです。
① 毎日の睡眠時間を増やす
成人は、健康を維持するために定期的に7時間以上眠ることが推奨されています。
「土日だけ8〜9時間」ではありません。
普段から7時間以上を確保することが基本です。
たとえば現在6時間睡眠なら、いきなり8時間を目指す必要はありません。
まずは、
「いつもより30分早く布団に入る」
ここから始めてください。
② 休日だからといって昼まで寝ない
平日は6時30分に起きているのに、休日は10時まで寝る。
これを繰り返すと、睡眠・覚醒のリズムは大きく動きます。
CDC・NIOSHも、休日もできるだけ同じ時刻に起きることを勧めています。
寝不足を補う必要がある場合は、朝遅くまで寝るより、
夜を早くする。
これが基本です。
必要に応じて昼寝を利用する方法も示されています。
「休日は昼まで寝る」ではなく、
「休日は少し早く寝る」
に変えてみてください。
③ 忙しくなる前こそ、しっかり寝る
実は「寝だめ」には、もう一つ興味深い方法があります。
それが、睡眠不足になった後ではなく、前に睡眠時間を増やしておく方法です。
「sleep banking(スリープ・バンキング)」と呼ばれています。
Ruppらの研究では、睡眠不足になる前の1週間、睡眠時間を長く確保したグループでは、その後睡眠時間を大幅に制限された際の注意力低下が少なく、回復も速いという結果が出ています。
たとえば、
「来週は仕事が忙しい」
「出張が続く」
「子どもの行事で朝が早い」
と分かっているなら、その前から睡眠を削らないことです。
寝不足になってから取り戻すより、寝不足を作らない準備をする。
この考え方は覚えておいて損はありません。
「たくさん寝たのに疲れが取れない」なら、時間だけを見ない
ここでもう一つ大切なのが、
睡眠は“何時間寝たか”だけでは決まらない
ということです。
7〜8時間寝ているのに、
・朝から身体が重い
・何度も目が覚める
・首や肩がガチガチ
・寝た気がしない
・昼間に強い眠気が出る
という場合は、「もっと長く寝れば解決する」とは限りません。
睡眠時間だけではなく、睡眠のリズムや睡眠を妨げている要因まで確認する必要があります。
当院でも、睡眠のお悩みでは「何時間寝ていますか?」だけを見ることはありません。
身体の緊張、呼吸のしやすさ、背中や肋骨の動きなども含め、眠りを邪魔している背景を確認していきます。
寝不足は、週末にまとめて返済しない
最後にまとめます。
平日の寝不足は、土日の寝だめだけでは完全に取り戻せません。
寝不足を減らすために優先するのは、
・普段から7時間以上の睡眠時間を確保する
・休日も起床時間を大きく変えない
・寝不足なら朝寝坊より早寝をする
・忙しくなる前から睡眠時間を確保する
この4つです。
「平日は睡眠を削って、休日に寝ればいい」
「1週間で何時間寝られればよい」
この習慣から卒業してください。
睡眠は週末にまとめて取るものではありません。毎日整えるものです。
最近「朝スッキリ起きられない」「寝ても疲れが抜けない」という方は、
睡眠時間だけでなく、身体の状態まで一度見直してみてください。
参考文献
・Van Dongen HPA, et al. Sleep. 2003. Chronic sleep restriction and neurobehavioral functions.
・Banks S, et al. Sleep. 2010. Recovery following chronic sleep restriction.
・Depner CM, et al. Current Biology. 2019. Weekend recovery sleep and metabolic dysregulation.
・Rupp TL, et al. Sleep. 2009. Banking sleep before subsequent sleep restriction.
・CDC/NIOSH. Sleep Pressure / Consistent Sleep Times.
・American Academy of Sleep Medicine / Sleep Research Society. Recommended Amount of Sleep for a Healthy Adult.
投稿者プロフィール

- 平岸カイロプラクティック院長
-
札幌市豊平区・平岸で、カイロプラクティックと東洋医学を組み合わせた整体を行っています。肩や腰の痛み、頭痛、産後の骨盤まわり、自律神経の乱れが気になる方を中心にサポート。分子栄養学の視点も取り入れ、体の外側と内側から整えることを大切にしています。
【経歴・資格】
・2008 年 4 月 日本カイロプラクティックドクター専門学院卒業
・元カイロ学院の直営店 藻岩店 院長
・元カイロプラクティック専門学院 講師
・PAAC SOT ベーシック課程修了
・SBR 睡眠アドバイザー
・認定分子栄養学アドバイザー
・こども分子栄養学アドバイザー
最新の投稿
お知らせ2026年10月13日都合により、10月13日(火)は16時までの営業になります。
お知らせ2026年10月1日10月は水曜日と、12日(月)・24日(土)が店休日予定です。
健康栄養2026年9月28日夕方に甘いものが欲しくなるのはなぜ?我慢する前に見直したい4つのこと
睡眠2026年9月8日【寝だめの真実】土日に10時間寝ても、平日の寝不足はチャラにならない




